すごい儲け方                   コラムTOPヘ




先日お客さんから聞かれたことがあります。
新車みたいな綺麗な車を100万円くらいで売ってる店があるけど、車屋は凄い儲けてるんだね。

お客さんが言いたかったのは、新車で150万の車が100万円で並んでるということは
その値段で売っても利益が出るということだから、車屋さんは凄い儲かる商売だということ。

他のお客さんでもそのプライスボードの勘違いでボロ儲けしているという誤解を受けてさんざん値切られたことがあったので、ここで一度説明しておく必要があると思います。新車の仕入れは半値程度なんて、とんでもない話も巷では囁かれていますので、しっかりと訂正しておく必要があるでしょう。しかし、道行く多くの人に誤解を与えている事実から考えると、あのプライスの出し方は少々問題があると言わざるをえません。こちらの商売に支障が出てしまうので、せめて当店のお客さんには説明しておかなければなりません。

新車を半値に近いプライスで並べている車屋がいますが、実際に車を半値で買えるわけではありません。所有権は車屋かローン会社になりますから自分名義の車というわけにはいきません。例えば、途中で転売したいと思っても好きな時に好きな所で車を手放すということはできません。使用者の欄は自分の名前になるのですが、所有者欄は実質的には車屋かローン会社の名義となるのでリースのような販売方法ということになります。どのディーラーでも扱っていて現在では当たり前になってしまった販売手法です。車を買う資金に余裕がない人に対しても何とか新車を売るためにディーラーも必死です。

この車の買い方の特徴は3年や5年で車を返却することにあります。そのまま乗り続けたい場合には下取予定価格(支払総額-購入価格)を払って乗り続けることもできます。一括で払うか、ローンを再度組むということになります。返却をする場合には、残りの金額を下取り額で埋め合わせする方法になります。

この方法の利点は総額を払うのではなく、下取り予想価格を差し引いた額を払えばよいので、月々の支払額を減らせるメリットがあります。新車を丸々ローンを組むよりも月々の車の維持経費が減らせて買いやすいということになります。

ですが、難しさも併せ持っています。まず、自分の車ではないので事故を起こした時に、下取り査定価格が下がってしまうことで最終的な帳尻が合わなくなるリスクがあります。3年5年後に無償で乗り換えられるはずが、追い金が発生します。だから事故はご法度です。また万一事故を起こした時のために車両保険は必ず掛けなければなりません。事故で全損になった場合で100対0で自分に過失がある場合には、現在の支払と下取り予定額を全額自己負担しなければならなくなります。全損でも直せる場合もあるので仮に自腹で100万円かけて直したとしても、支払が終わった時には大事故歴車ということで数十万の追い金が発生します。このように車両保険をしっかり掛けておかないと大変なことになりますので、この経費は別に考える必要があります。

それから、下取り価格が補償されるかどうかは確認する必要があります。お店によって対応が異なります。下取り価格が保証されない場合には不人気車などの場合は査定価格が下取り予定価格を下回ることがありますので、追い金を払う必要が出てきます。新車では大人気でも中古車になると全く人気を失う車もありますので、注意が必要です。最近の傾向では外車、ハイブリッド車は中古車での価格下落が非常に大きい傾向があるので要注意です。また大事故でなくても小さな傷やへこみがあちこちにあると、結局オールペイントに近い板金費用(20万円~30万円程度か)が必要とされる場合もあり、査定額が大幅に下がる可能性があります。運転が上手ではない人には正直お勧めできません。予定下取額は傷なく綺麗に乗った場合の価格であって、返却時には元の状態に戻すことが原則です。また走行距離制限もあります。年間に走れる距離は年間1万キロ程度と決まっています。その距離を超えると査定額から1キロ何円で差し引かれるので注意が必要です。

このように、メリットばかりの買い方ではありませんので、デメリットを良く理解した上で、それでも大丈夫だと判断されるのでしたらこの方法で購入するのも悪くないでしょう。新車に安く乗れるというのが、最大の売りです。リスクを負ってでも新車に乗りたいという気持ちは良く理解できます。

冒頭でのお客さんからの質問には、勘違いされていますと申し上げるしかありません。
車一台売って50万円儲かるなんて話はありません。高級車の500万円クラスになれば、また別の話ですが・・・
残価設定型ローンというクレジット商品で、当店でも取扱いしています。希望者がいれば検討させていただきます。