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点火プラグ



点火プラグのお話しです。点火プラグはガソリンエンジンのシリンダーヘッドについていて、火花を飛ばしてガソリンに着火させる役目をしています。点火プラグはガソリンエンジンの燃焼の要です。

通常点火プラグは電極の角が丸くなってきたら交換ということになります。角が丸くなると電極間のギャップが変化したり、火が飛びにくくなるからです。大体3万キロ〜5万キロで交換することが多いようです。性能面から考えれば、本当は2万キロ程度で交換したいところですが、目に見えて交換時期と分かるまで使用する場合がほとんどです。2万キロ程度では、まだプラグの電極は新品に比べても、誰が見ても明らかに悪いと言える状態ではありません。この段階でプラグを新品に交換するとなると、「まだ使えるじゃないか、こんなに新しいプラグを換えるなんてけしからん」ということになります。ということから、見た目で状態が悪くなるのを確認できるまでは使用し続ける場合が多いです。

プラグが見た目で交換時期と判断できるのは、3万キロ程度走行してからですが、この時期に新品のプラグに交換すると、エンジンにかなりの改善が見られます。付け替えて運転して体感できるほどなので、エンジンの出力が上昇したのは明らかです。ということは、取り替える前のプラグは随分と性能が劣化したまま酷使されていたということになります。

ここで、プラグを新品にした場合のメリットを考えてみます。まず、ガソリンの着火性能が上がり燃焼状態が良くなるため出力が向上します。着火性能が良くなると燃焼の着火タイミングが速くなり点火時期を早めたのと同等の効果(膨張燃焼圧力向上により出力向上)が得られます。出力が向上すると無駄にアクセルを踏まなくても走るようになるので、その分燃費が向上します。数字にはっきりと表れるほどではないと思いますが、コンマ2、3は向上するのではないかと思います。プラグ交換で燃費が1キロ/L上がったという話は聞きませんが、逆に全く変化がないということもありえないので、0.2キロ/Lなら現実的な数字だと思います。

では、年間一万キロ走行する人が0.2キロ/L燃費が良くなると、年間でいくら得をするのか計算してみましょう。リッターあたり10キロ走れる車と仮定します。10000万キロ走るのに使用するガソリンは1000リッターです。燃費が0.2キロ/L上昇すると10.2キロ/Lの燃費の車ということになるわけですから、10000÷10.2≒980で、一万キロ走るのに使用するガソリンは980リッターということになります。つまり、燃費が0.2キロ/L良くなることで、年間で20リッター得をするということです。平成19年の現在のガソリン価格、130円/Lで計算すると20リッター分で2600円が返ってきます。

一方、点火プラグの値段はNGK製やDENSO製の一般的なタイプで500円程度です。四気筒で2000円、六気筒で3000円程度です。ほぼ、一万キロでプラグの費用は元が取れてしまうことになります。更に、もう一年の使用でプラグの性能は弱冠落ちるかも知れませんが、古いプラグを使い続けることに比べればはるかにお得なことは明らかです。

最近の車の主流はイリジウムプラグですが、大体一本1800円程度します。4気筒だと7200円です。イリジウムプラグは通常のプラグよりも性能が長持ちしますので5万キロ以上は使えますが、車検3回毎に交換すればコスト的には遜色ないでしょう。以前よく使われていたプラチナプラグは最近は使われなくなってきています。耐久性能は抜群によく10万キロ無交換に耐えるものでしたが、最近は多少劣化が早くてもより着火性の優れたイリジウムを使う傾向になっています。最近はエンジンに省燃費性能が求められるため混合気が薄く、着火性の少しでも良いプラグが求められているのが理由ではないかと思われます。

年間一万キロ走行する人であれば、定期的な早めの交換でも、少なくとも損をしないということはいえると思います。むしろ、好調を維持できるのですから、お得なのではないでしょうか。

今回は、プラグ交換時に一度は出たお金が、後で知らず知らずのうちにお財布に返ってくるというお話でした。


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