コラムTOPヘ

ATF



一昔前はATFは交換しなくてもよいものと考えられていましたが、最近はATFは交換した方がよいという考え方がだいぶ広まってきたように思います。神原商会でもATFの交換依頼が増えています。

ATFは交換しなくても10万キロ程度は普通に走れてしまうのは事実ですので、エンジンオイルのように定期的に交換しなければすぐに壊れてしまうということはありません。交換しなくても大丈夫じゃないのかということで、ATF交換は今までなかなか普及してこなかったのです。

しかし、最近ATF無交換で長距離を走ることによりオートマが不具合を発生するケースが多いことがわかってきました。最も顕著な例はミッションのすべりです。ATFの劣化が原因の場合がほとんどです。すべったミッションのATFは例外なく真っ黒に汚れています。変速ショックや変速の遅れなどの症状が出る場合もATFの汚れが原因の場合が多いです。

いつもなら変速するタイミングで変速せず、変速しても回転が落ち込む(エンジンのトルクバンドからはずれてしまう)場合はミッションのすべりはじめの兆候です。そしてこの場合、変速ショックも大きくなっている場合が多いです。信号待ちで停まったあとで、少し時間をおいて「ガクン」と変速(シフトダウン)する場合や、発進時にニュートラルからドライブに入れてもすぐにギヤチェンジしないなどの現象は、ミッションのすべりがかなりひどくなっている状態です。(エンジンかけ始めはATFがミッション各部に行き渡るまで時間がかかる場合があり、似たような現象が出ることがありますが、この場合は異常ではありません)。ミッション内部のオイル環境が更に悪くなると、完全にすべった状態となりアクセルを踏んでもエンジン回転ばかり上がって、車が思うように前に進まない状態になります。

このようにATFの劣化がミッションの故障の原因になることがわかってきました。また、このような顕著な故障に至らなくても、無交換で走り続けるとエンジン出力をミッションでロスする割合が増加していきます。少しずつ劣化していくので気付きにくいのですが、日々確実にパワーダウンしているのです。

理由は、ATFは汚れるだけではなく、粘度も低下していくからです。この粘度低下がパワーロスに繋がるのです。オートマミッションは加速時にはマニュアルミッション車のように100パーセント機械的に締結されているわけではありません。ATFのオイル粘性を利用して動力を伝達し車を動かしています。よって、ATFの粘度が低下することは、エンジン出力を伝達する割合が低下することと同じことなのです。オートマ車に乗れば、毎日少しずつ気が付かないうちにパワーロスしている車に乗っているのです。

事実、ATF交換によってパワーが復活した、出足が軽くなった、アクセルを踏む量が少なくなった、明らかに燃費が上がった(0.5キロ/L以上!)という話を聞きます。最近ではATFは2万キロ〜3万キロで交換するのが良いと言われるようになりました。ATFの汚れの面から考えるともう少し走れそうな感じですが、粘度低下の面から考えるとこれくらいの距離で交換すると好調を維持できるようです。ATF交換することで、ミッションの故障を未然に防ぐことができますし、燃費低下も避けられます。何より運転していて絶好調の車を運転するのは楽しいものです。



〒252-0813 神奈川県藤沢市亀井野2297 神原商会 TEL 0466-81-1344